月組『エリザベート』東京公演の感想
個人的感想なので、ご容赦ください。
「ライブ中継」だと、声や映像のアップで印象が変わります。
・表情が見える点で印象が変わること。
・逆に、全体像とアップでは、場面の印象が変わること。
・日々変わる演技。
この3つで、印象が変わって見えたので、昨日と今日でも比較できない。
ライブ中継・・・見た目が1.1~1.2倍に見えました。
これは、映画館と、B席の距離(+オペラグラス)にもよります。
なので、繰り返しますが、個人的感想です。
しつこく言うのは、ちょっとマイナスな印象もあったので。
ただ、解釈に正解はないから、感想も色々ありかなと思いました。
大劇場公演の時と変わっていたのは、「愛希さんエリザベート」。
「2幕」が強く見えました。昨日(一昨日の生の舞台)の方がそう思いました。
「病んでない」だけでなく、「生気がある」。
よって、「死」に惹かれているようには、見えなかったです。
「憧花さんゾフィー」が、恐ろしいほど怖くない事も少し関係します。
「憧花さんゾフィー」は、「皇后教育」に「姑」として、「愛のムチ」の優しさを感じました。
「フランツが気に入ったのだから、仕方ないわね、鍛えなきゃ」という感じで、
溜息と共に、彼女なりに愛を持って「皇后教育」に取り組む感じ。
後半では、諦めて「宅配ピザ」へと、変化していくのは、仕方ないかなぁと。
(シシィは手に負えないので)
個人的固定観念の恐ろしい「ゾフィー」の方が、作品としてはしっくりします。
微妙ですが、「憧花さん」の役創りはそう見えてしまい、それがしっくりきてました。
無理して、恐ろしい「ゾフィー」より、柄に合ってて、説得力がありました。
ただ、それを肯定すると、「シシィ」は、皇后になる覚悟が足りない人になってしまうのが微妙。
「美弥様フランツ」は、「愛ある姑ゾフィー」(勝手な個人的解釈)への理解を示しつつ、やはり、「家族愛重視」「シシィ愛」の人を貫いておられます。
「ゾフィー」との確執以降、「フランツ」に対しても、「愛」があまり感じられず、「自由」を求めてる印象の「愛希さんエリザ」。
私が、フランツ!?
どこが、「シシィ」の信頼を失わせた決定打だったのか、よくわからないけど、多分蓄積で信頼を失っちゃったのかな・・・とこれまた個人的な理解です。
寝室のドアの場面で、「最後通告の紙?」をスポットライトが消えても読みながら去る辺り、芝居がより細かくなって、「シシィ」への一途な「愛」を感じます。
「美弥様」の演技は、「フランツ」だからか、「フランツ役」で、本来の「色気フィルター(個人的)」がそぎ落とされて気づいたのか、分からないです。
演技が、繊細です。
細かい演技に磨きをかけていると、「ライブ中継」で、表情と仕草がより鮮明に見えて、気づきました。
「繊細で儚げ」・・・「美弥様」の「男役像」の印象を抱きました。
(『アンナ・カレーニナ』観たい・・・)
「愛希さんエリザ」が旅をしているのは、ひたすら「自由」を求めてる・・・あの「パパ」の娘に納得です。
病院慰問の時、「ヴィンディッシュ嬢」に対して、周りを制する時、昨日(一昨日)、扇子をビシッと音を立てていた(「ライブ中継」ではなかった)のに、周囲が止まり、二人を見守る感じ。
(一瞬の場面で気のせい!?)
その時の「愛希さんエリザ」の目は生気があり、やはり「死」への羨望はなさそう。
「暁さんルドルフ」との場面も、しっかり目を見て話を聞いて、「自分で解決しなさい」と、厳しい印象。
「自分の事で精一杯感」は、「死で頭がいっぱいエリザ」でもありそうですが、正気で強くはねのける感じに見えました。
よって、「暁さんルドルフ」が亡くなった時の悲劇的な場面も、
「あの時厳しく言い過ぎたからじゃない?」と思ってしまいました。
全体的に、「愛希さんエリザ」が「死にたい」という言葉は、本音じゃなさそうに聞こえてしまう、生気のある「エリザベート」でした。
「愛希さん」は、「自由」を探し求め続ける「エリザベート」の印象でした。
大劇場の時より強くなり(生気を帯びた)、「自由」を求めてる。
「死=トート」も「フランツ」も、拒否(どっちにも惹かれてない2幕)してる印象。
よって、この夫婦のすれ違いが、「夜のボート」の歌詞で、切なく胸に沁みました。
「珠様トート」は、大劇場の時と印象は変わらなかったです。
書きすぎたので省略。
壁にもたれて、手に入れようと画策している姿と、相手に「死の欲求」が垣間見えた時、悪巧み!?を思いついた時、快楽を感じた時、の「悪い笑み」が、魅力的☆彡
私には「悪魔」っぽく見えました。
強さが日によって違う印象のままでした。
(「ライブ中継」はやや強めに見えました。)
「静」の演技でじわじわ来る方なので、しゃべりまくる役より、動作で表現する方が似合う印象の方。
その動作も大きくゆったりしてる方が、似合うし、そういう演技の印象です。
(細かい部分を創るより、全体像で印象ができる感じ!?・・・語彙力不足です)
「トート閣下」が最初に登場する場面で、魅力を感じる「トート」役者もいます。
「珠様トート」の魅力を感じた場面が、「珠様」の魅力かなと思いました。
(個人的なツボですが。。)
それが、細かい演技派「美弥様」と反対で、面白いお二人。
「月城さんルキーニ」は、昨日(一昨日)は、正気度が更に高くなり、最後だけ、狂気的に見えました。
やはり、大劇場と同じく印象が難しい「月城さんルキーニ」。
「ライブ中継」では、狂気的な表情がアップで沢山映っていたので、ますます疑問。
台詞回しは無難で安定感もあり、「正統派」の印象。
「クセがない人」(いい意味で)の印象「月城さん」で、2回の差が大きくて謎のまま終わりました。
ライブ中継での「アドリブが今日で終わって嬉しい人?」「はいっ!」って自問自答していたのも印象的でした。
きっと「アドリブ」も真面目に考えてそうなので、「優等生的」なら「ルキーニ」は難しい役だろうなぁ・・・って難しい役ですが。
美しくて、そつなくこなすので、「気になる人」です。
「ゾフィー」の演技が変わったのか、私の印象が変わったのか、分からないです。
「エリザベート」は強くなりました。
「愛」が物足りなくなったけど、「自由を求めて枠にとらわれない」辺りは、「愛希さん」ご本人とは違うでしょうが、「愛希さんらしさ」でしっくりきます。
まだまだ、変化しそうな「愛希さんエリザ」。
そこは、やはり「愛希さん」すごいです。
作品の主題「愛と死の輪舞」から、外れてる気がしたのは、微妙です。
それぞれのキャストが個性を出しているのは魅力的です。
ただ、調和がとれていたか、微妙な三角関係。
でも、もう終わった公演。
人によって、自分の中でも、色々な解釈ができるのが、この作品の魅力と思いました。
役の固定観念とか枠に縛られない「自由」
『エリザベート』が終わったのは、個人的な財政面では良いけれど、やはり再演が早くも待ち遠しい作品です。
さいたまんぬ