雪組『ファントム』~「望海さんエリック」と「僕」に思う~
昨日、初観劇で印象に残った「望海さんエリック」の「僕」呼び。
この「僕」呼びで、「エリック」が精神的に幼さを残してることを感じます。
ピュアな面も、より引き立ちます。
ただ、「望海さん」に対して、「少年らしさ」のイメージは個人的にないです。
「トップスター」になると、役は、年齢設定で、「青年」が若いギリギリで、「大人の男性」が多いです。(個人的印象)
「明日海さんエドガー」(ポーの一族)は例外で、「明日海さん」だからこそ上演できた演目と言われてます。
過去フェアリー系の方で、「PUCK」が似合ったり、「例外」な役はあるけれど、基本「大人の男性」。
前回観た時の感想で、「エリックの年齢設定が分からない」とブログで書いた記憶があります。
前回観た時、「エリック」が幼く見える日と青年っぽく見える日がありました。
どちらも、「少年らしさ(実年齢より精神的に幼い未熟さ)」がある「エリック」。
ただ、すごく「少年らしさ」を出すと、『ファントム』設定から外れてしまう。
そして、「望海さん」に「少年っぽさ」はあまり似合わないです。
逆に「大人過ぎ」ると、精神的なアンバランスさが滲みでなくなってしまう。
少なくとも「歌の先生」をする位、「クリスティーヌ」との年齢のつり合いは取れている位の「青年」のイメージです。
どうしても『オペラ座の怪人』と比較してしまう作品。
劇団四季の『オペラ座の怪人』は、当時「おじさん」役に見えたので、「宝塚」らしいのは、『ファントム』の「エリック」。
(『オペラ座の怪人』は若い頃(小さい頃程でもない)観たので、そう見えた!?)
「望海さん」には「大人の男性」役は似合うけど、「少年っぽさ」は似合わない。
それに加えて、精神的に幼いだけで、「青年」と思われる「エリック」。
すごく難しい役だなぁと、前回感じました。
日によって、違う印象なのは、演じながら模索中かな!?と。
(えらそうですみません。観て感じた印象です。)
歌唱になると、日によって違って見えた「年齢設定」演技の「違和感」は消えます。
ただ、観劇回数は少なかったですが、「青年っぽさ」度が定着しつつあるかな?
(こちらの方が違和感が少なく、しっくりくる)
と思ったりしました。
この「違和感」は何だろう?と思って観ていたのが、昨日の観劇での「僕」で腑に落ちました。
普段、他の作品で出てくる「僕」より、「ポーの一族」の「エドガー」に近い「僕」。
それが、「望海さん」には似合わない。
「歌」がすごく難しく、それを素晴らしい歌唱で聴かせてくれる「望海さん」。
なので、台詞の口調が、気になった前回。
(悪くはなく、気になっただけです。)
あまりに「青年度」が高いと、少し若く見える「彩風さんキャリエール」とのバランスにも違和感が出ます。
前回、最後に観た時、個人的に最も違和感の少ない「青年度」でした。
ただ、違和感が、「役」に対してか、「望海さんの少年っぽさ」か分からないまま、観終わりました。
「彩風さんキャリエール」が当時すごいと思ったのは、ぶれない「老け度」の安定感。
だから、「望海さんエリック」が揺れても、どっしり包み込むのが頼もしい!!
で、昨日の「望海さんエリック」は、違和感の少ない「青年度」、一番しっくりきました。
加えて、更に情感が深く伝わる魂の叫びのように「歌唱」に凄みがあり、より進化して見えました。
すごい、すごすぎる・・・。
たかが「僕」、されど「僕」。
間に、別組の公演で、「私」、「俺」を観ただけに、「僕」が印象に残ったのかも。
そして、この「僕」は難しい・・・。
どの「役」も難しいですが、「アンバランスさ」と「持ち味」から、より難しさを感じる「エリック」の「僕」。
というわけで、トップコンビの演技の進化が印象的だった昨日の舞台でした。
確実に良くなって、磨きがかかっているだけに、すごい。
「すごい」連発の舞台です。
個人的な感想なのでご容赦ください。
さいたまんぬ