月組「カンパニー」(2)東京宝塚公演

再観劇。

最初に一言、お詫び申し上げます。

さいたまんぬは、初回と2回目以降で感想が激変することがあります。

飲み込みが悪く、1回観劇では理解できないのです。

・ミステリー映画など、観た後、オチ(真相?)が分からず、ドン引きされる。

・学生時代、苦手科目は国語、特に「物語文」

(作者や主人公の気持ちなんて分からんわ!!と国語は捨て、理系へ進学)

ということで、「人は時に心変わりする移り気な生き物」と、ご容赦ください。

以前書いた「宝塚観劇の心得 ①原作は宝塚的に捻じ曲げられる」を軽視してました。

捻じ曲げ度合い(脚色度)にも「大・中・小」とレベルがあります。

あっと驚く「大」の場合、気付いた時点から、こちらも構えの姿勢で臨みます。

可能な限り、前向きに解釈し、消化(昇華)させます。

脚色により、生まれた歪み(矛盾)に対する辻褄の合わせ方に、演出家の力量や作風が滲みでるので、そこに面白さもあり、微笑ましく受け入れます。

以前は、「夢オチ」レベルに驚くこともありました。

しかし、最近は平均レベルが上がり、座付き演出家の「サラリーマン演出家をなめんなよ」という、意気込みが感じられ、頼もしい限りです。

生意気言ってごめんなさい。(ホント、心から尊敬しております。)

今回は観劇後、「小」と判断し、帰宅して「歌劇」の座談会も流し読みして、

比較的大きな変更点は

・青柳さん:「中年男」⇒「青年」

そこで、一番大きかった違和感が払拭されたので、ほぼ原作イメージのままで、観劇感想を述べました。

・美波は、青柳さんに結構積極的にアプローチする性格

この点も、気に留めず、スルーしてました。

そして再観劇

・青柳さんの亡き奥様が、社長令嬢の紗良(早乙女さん)の友人

 ⇒年齢設定が紗良や美波と同年代なのね。

・「青柳さんってイケメン」.etc

 と青柳さんが好青年であることを強調する台詞多数

 ⇒美波が恋してもおかしくないよね。やっぱりトップスターは格好良くなきゃね。

・美波、舞台上で青柳さんが好きなことを友人に告白等、積極的な発言や行動の数々

 ⇒性格が設定変更されていることに納得。

この辺りは、復習後の再観劇の醍醐味を味わいつつ、観ておりました。

座談会では挙げられていなかった、高野のトレーナー瀬川(海乃さん)は「美人」。

⇒プロの世界的プリンシパルがトレーナーを(1時間40分で)好きになる上で説得力を増す為、オッケー!

観劇後の余韻もさして変わらず、皆(脇坂さん除く)幸せになる結末で、未来へ希望を感じさせてくれる明るい作品。

と、清々しい気持ちになれて、ショーと共に肩に力を入れずに楽しめる作品でした。

でも、反芻すると、脚色度「中の上」じゃね?

「中年」と「青年」って大学生と小学生位大きく違いません?

そもそも、「イケメンで仕事ができる青柳さん」って、原作の主人公が出向になった理由にかすりもしない設定じゃありません?

むしろ、そんな好青年、期待されての出向ではありませんか!!

はい、ここで、いつもの観劇パターンで、プログラム立ち見。

石田先生「ここまで原作を大きく変えさせてもらってまで、上演許可を戴けた、原作者の伊吹先生に感謝します、云々」

納得しました。

宙組の「天は赤い河~」の脚色度が超巨「大」だったことで、免疫力が向上していたようです。

そもそも「小」と判断したのは、珠城さん「中年」の違和感度が少しだったからや。

なんて、珠城さんファンを敵に回すような言い訳はしません。

珠城さんの良さは、リトマス試験紙のようにじんわりと分かるので、やはり長期で在任していただきたいものです。

一旦、脚色度「中の上」と判定に変わると、原作ファンの目で作品を比較する自分が現れてしまいます。

公演見てから、原作読んだくせに、原作ファンという表現は的確ではないですね。

オリジナル作品は、素直に作品の良し悪しを感じます。

しかし、原作ベースの作品は、原作との比較(優劣)が先行してしまうのです。

結論から述べると、「作品が伝えたかったことは変わってないので良いと思う。けど、人物設定が変わり、人物像に深みが欠けたことで、原作の良さが伝えきれず、少し薄っぺらくなってしまったなぁ。」でした。

(理由)

・青柳さんの挫折、迷いの底から、希望を見い出す苦悩があまり感じられない。

・青柳さんが、公演を成功させるため、積極的に行動して熱い人に見える違和感

・美波さんの恋への積極性とバレエの本番に対する弱さを持つ性格に違和感

 ⇒極端過ぎる言い方をすれば、恋には積極的なのに、人生ここ一番に弱いのは、人物としてちょい、軽くないですか?

石田先生、どうして、そこまでこの作品にこだわったんでしょう?

とは思ったものの、「カンパニー」の趣旨が、今の月組に合っていたからだろうなと消化しました。

しかも、主要キャラクターは、それなりにハマってましたしね。

珠城さんは、周囲を引き立てる役に終始し、個性的なキャラに埋没して目立たない。

でも、珠城さんの存在なしでは、バレエ公演の成功はなかったであろう点では、無くてはならない存在。

さりげなさすぎるのが、演技なのか天然なのか、ここ重要ですが、今は後者かな・・。でも、でも、ショーで存在感が増してたので、着実に成長されておられます。

愛希さんは、原作より押し出し(対青柳さん)が強い性格になっていたにも関わらず、好感度の高いキャラに仕上げているのはさすがです。

美弥さんは、ビジュアルからもう「宛て書き?」のハマりっぷり。ただ、前回の観劇より、カリスマ性より人間臭さが強くなっていました。トップを究めた人が抱える孤独や苦悩を押し出している感じでしょうか。

早乙女さんは、令嬢のツンツン度と気さくさに好感度高い!

海乃さんは、脇役に回り、人物像を伝えるには、物理的に出番(台詞)が少ないので、熱血度とジャージ姿のシルエットの華奢さの方が目立って、惜しい。

愛希さんが原作より人物的に違和感を抱いた中でも好感度を上げているのに対して、海乃さんへの共感度がイマイチだったのは、役者としての力量の差が少しはあるように思えたのは、さいたまんぬだけかしら!?

ところで、今回の作品での一番の収穫は、「芝居の月組」と言われる理由が理解できたことです。

よく、「芝居の月組」という言葉を見かけますが、さいたまんぬの月組評価は、

・「若さの月組

・「ミュージカルの月組

・「アイドル性の高いトップが多い月組

・「初心者入門に最適の比較的ナチュラルな月組

てな感じだったので、冠に「芝居」を付ける程、長けてるかなぁ??と懐疑的でした。

しかし今回、

月組生え抜き陣⇒珠城さん、愛希さん、宇月さん、憧花さん、他

組替え陣⇒美弥さん、早乙女さん、月城さん

で、さりげない自然な台詞回しや仕草、熱い台詞で感情を爆発させる場面で、差を感じました。

月組生え抜き陣は、ナチュラルに上手いんです。

今回は主要キャストに組替え陣が多いことと、舞台設定が現代ということで、分かりやすかったのかもしれません。

また、最近の月組は、他組からの落下傘トップさんが多かったので、見えにくかったのかも。

ナチュラルに上手い」って、自然過ぎて、気付きにくいのですが、「さりげなさ」が何気に巧いんですよ。。

そう思って、ショーを観たら、ハチャメチャな舞台が成立していたのは、その上手さの貢献度が大きかったのかなと思います。

「今の月組に合っている」だけでなく、「月組だから成功した」とも言えるかも、なんて思ってしまいました。

月組の元御曹司、花組の明日海さんも、芝居に拘りを持っていて、ストイックですよね。

ポーの一族」は、さいたまんぬも、ビジュアル+αの、芝居の巧みさで、圧巻の「エドガー」に、ドライアイが悪化するほど、見入ってしまいました。。

また、脱線してしまいました。。

という訳で、リピートするとまた、舞台の見方も変わり、面白いです。

千秋楽へ向けて完成度と熱量が高まっており、やはり、見納めの3回目が必要と未練たらたらです。

しかも、本日、犠牲組に選ばれた「星組」の先行抽選結果で「B席が1回」しか当たりませんでした(涙)。

一般発売かクレジット抽選か、世界規模では平和な悩みですが、本人は深刻な危機感を抱いております。

 

さいたまんぬ

 

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