月組「カンパニー」東京宝塚公演
観劇→原作本読みで、宙組「天は赤い河~」ほど思い入れもなく、副題ほど情熱もなく、予習なしで観てきました。
主役がサラリーマン。原作では、「中年」で妻から離婚の引導を渡され、会社からリストラ宣告されたも同然の部署への異動宣告された男。
スーツが似合う男でも、くたびれたスーツは男役には似合わない。
夢を与えるヅカの舞台にまで、現実を突きつけるなんて、とほほ、社会は厳しいっす。
ただ、原作の主人公は、背景ほどくたびれていない、結構、影ではもてそうな、気配りのできるおじさんでした。
珠城さんは、爽やかな「青年」サラリーマンを演じてました。
座談会で「青年」と書いてあったので、役創りとしては外してないですね。そして、いい人って印象も同じ。
出世欲もなく、コツコツ与えられた仕事をこなして、そつもクセもない、同僚なら「いい人だなぁ」と思う人。ちょっと、毒を吐けば、存在感が薄い、いてもいなくてもいい人。
個性的で主張が強い人たちが周囲に集まっているだけに、中和剤として、場を和ませてくれる点では貴重な役柄ではあるものの、舞台で主役がやる役柄ではない気がするのですね。
でも、珠城さん、似合ってたのですね。
毒を吐けば、埋もれちゃってたのですね。
珠城さんに関して、さいたまんぬの評価は「?」です。
①物理的理由
・龍さん、明日海さん辺りが拮抗していた時代に抜擢され、いきなりごぼう抜きでトップになられたので、印象が薄い。
・個人的に体調を崩すローテーションと月組が重なり、月組の観劇回数が少ない。
②精神的理由
・前回も書いた、トップ路線街道を若い学年から爆走する(させられる)方は悪役など、印象に残る、まさにアクの強い役よりは、友人役など清涼剤のような役柄を振られることが多いので、印象が薄くなりがち。
・若い頃から抜擢組は、劇団が推してくれる(目立つ役をもらう)、押し出しが弱い。 切磋琢磨組は、危機感や野心が生まれるのか押し出し上手ですね。個人の性格もありますが。
→さいたまんぬのヅカ史的に、月組は抜擢組が多く、花組は切磋琢磨組が多いですね。(またの機会)
というわけで、珠城さんは両方を兼ね備え、且つ体格が大きい事から勝手にスケール感も大きそう、いつか化けそう、と期待しているまま、トップスターに就任。期待しているままに現在に至ります。「一皮剥け」待ちを一番期待してるというか、してくれなきゃ劇団困るよ~の人です。月組天海祐希伝説(博打抜擢のハイリスクハイリターン)を劇団が期待するのは分かります。でも、伝説は滅多に起きないから伝説になるので、犠牲者の多い博打は、修復に時間と調整の手間(組替え乱発)がかからない程度でお願いします。珠城さんは、大和悠河さん路線に似てませんか?
また、話が脱線してしまいました。
まぁ、結論として、今回も無難にこなして、周囲が伸び伸びと各自の個性を引き立たせていました。
俺様系のトップさんより、
①温かく周囲の成長を見守りながらも、トップとして絶対オーラを出す
②周囲が、この方に尽くしたいと思いながら引き立てつつ頑張る
の方が組が活性化しますが、今の月組は「トップさんが○○なので、自由に演らせてもらおう( ´艸`)」的な雰囲気が漂ってます。
愛希さんは美味しい役を毎度もらって且つ期待に応えて、着々と磨きをかけてます。
美弥さんは切磋琢磨組の生き残りなだけに、自己分析がよくできていらっしゃり、耽美的な男役を究めつつある段階で、もはや独自路線で他の追随を許さないコアファンが多そうです。
よって、珠城さん、現時点での強みが「大柄」「大らか」で、ちょっと弱い感じがするのです、あぁ、歯痒い。
月組を観に行く時は、つい、愛希さんと美弥さんを楽しみに観に行ってしまいます。
以前、ある演出家さんが「スターとは、この人に演らせてみたいと作品が浮かび上がるような人だ」みたいなことを仰っていました。印象的な言葉だったので、作品を観るとき、演出家の思い入れのありそうな役を演じている人を意識してしまいます。
さて、お芝居の感想に戻します。
愛希さんも等身大で、透明感のあるヒロインでした。今回は控えめな役柄。その分、ショーで大活躍。地球が乗っ取られるより、月組のトップの座を乗っ取ってる!?
美弥さんは、「充て書き?」と原作があったことを忘れるような、ハマりっぷり。色気と影とクセのあるバレエダンサーで、美味しい役だね~。上級生だけど、2番手の地位がいよいよ安定してきたね~。という感じでした。
原作でヒロインは、ほぼジャージ姿。目立つ役だし、原作では共感度が高いのですが、海乃さんは何か物足りない。あと一歩って感じでした。それがジャージ姿のせいなのか、一生懸命さを強調しすぎて、熱苦しいなぁ止まりだったからなのか。
逆に、原作より好感度を上げて共感できる人物に仕上げていたのが早乙女さん。星組からの組替えの意図が分からずじまいに退団。はなむけの演出なのか、「引退」「引退」と台詞で連呼されていたのが、かえって気の毒な感じがしました。特に思い入れはないですが、ショーでも最初の登場場面で「綺麗な王女様、あの人誰?」と思った位、綺麗でした(B席後方でオペラグラスの精度が悪いのでよく見えない)。ヒロイン路線の方だったので残念ですね。
月城さんの役は、暁さんの方が柄に合っている気がしました。月城さんは、もっと大人っぽい役の方が似合うのですが、該当する役が作品上、見当たらないですね。
暁さんは、等身大で、現状維持、引き続き、「一皮剥け」待ちです。
宇月さんも今回で退団なのですね~。脇を固めて下さる、頼もしい存在ですが、路線でないと、やっぱり辞め時を考えちゃいますよね。。星条さんに引き続き、残念。
実は今回、ショーを楽しみにしておりました。
「宝塚歌劇のお気に入りの人は?」と聞かれると、まず思い浮かぶのは「上田久美子先生」ショー作家としてのデビュー作品。座談会を読む限りでは、今までの作風とは違う、軽快でポップな印象。期待せずにいられようか。
でもね、でもね、記憶があまり、その、、、ないんです。
薬を飲んでいたため、意識が薄れて、ハチャメチャで愉快痛快、意外な作風だったなぁ。。位でした。。
すみません、先生は悪くないです。
猛省と後悔しております。
でも、自宅謹慎せずに、明日リベンジしてきます。
さいたまんぬ