宙組「天は赤い河のほとり」宝塚大劇場

観てきました。

結論として、まず、この作品は2回観た方が良いです。

原作ファンご立腹必死の、原作の改変ぶり。

心の準備に、副題「~新生宙組version~」と付けてほしいです。

えっ?、ええっ!?と、原作と違う展開に、驚きの連続。

原作の篠原先生、よく許して下さったなぁ。

2.5次元ミュージカルの名手、小柳先生、調子悪いのかなぁ。

小池先生の演出力の凄さを知らしめる引き立て役にババくじ引かされたのかなぁ。

ビジュアル再現度低いよ、衣装違うよ。「王家の紋章」パクッてるよ。

しかも、原作読んでない人には、分からないであろう専門用語が出てくるから小難しいよ。

と、原作ファンとしては、怒りが沸々と湧き、歌劇団への怒りと失望を胸に抱きながら、帰途につきました。

しかし、家で冷静になったところで、思い出しました。

宝塚歌劇」を観るにあたっての心得

・男役トップスターを主役にするには、原作を捻じ曲げることは厭わない。

タカラジェンヌのカッコいい姿に癒されに行く世界

ということで、翌日は、オリジナル作品として、新生宙組公演の各スターさんたちに注目することに重点を置いて観劇しました。

視点を変えれば、

・新生宙組を築きあげていく真風さんの皇子から皇帝になる成長物語

・持ち味が違うユーリ演じる星風さんと真風さんが徐々に距離を縮めていく恋物語

・2番手として、いずれ宙組を掌握する野望を秘めた芹香さんのご紹介

・3番手据え置きながら、油断ならない愛月さんが真風さんをサポートに徹する役割

・若手有望株には、爽やかで好感度の高い役をあてがう鉄板、ザナンザ皇子に桜木さん

と、説得力がある舞台でした。

幕間にプログラムをさらっと立ち読みしたところ、小柳先生の「ごあいさつ」に書かれてありました。ざくっと言えば、

「1時間40分でまとめるのは無理なので、真風さんの皇帝になるまでの物語として描くことにした。」

腑に落ちました。小柳先生、暴言を失礼しました。それでも、「乳香」なんてマニアックな専門用語は分かりにくいし、原作読んでない人は「難しい話ね」、と言ってました。

(注:ひとり観劇でもトイレに並んでいる時や、お隣さんと会話したりして、情報収集?します)

真風さんは、失礼ながら、若い頃から目立つ役が多くついていたのと、いつの間にかどっしりした大人な男役になられたので、安定感があり、包容力は抜群でした。ただ、フレッシュ感はなく、カイル皇子が成長していく中で抱く、戸惑い、葛藤、熱さといった感情がやや表現不足で、しっくりこない点に違和感がありました。

逆に良かったのが、星風さんと芹香さん。フレッシュで、キラキラ度が高く、歌に磨きをかけ、まさに今が伸び盛り。今後の活躍が期待できる感じが役柄も作品にも合っていました。

芹香さんは、赤丸急上昇中で、華もあり、今回のチャラ男役が恰好よく似合っていました。真風さんがダークな色が持ち味とすれば、芹香さんは白が似合う王子様系と、対称的なので、この対比は、今後の作品が面白くなりそうですね。

星風さんは、キュートなだけではなかったΣ(・□・;)。抜擢が続いてる方だなぁ位の認識でしたが、今回、お芝居もショーも出番が多く、三拍子揃った実力派で、あの学年で凄すぎる。キュートな顔ですが、大人の女役もできそう。芝居のユーリは等身大の雰囲気でしたが、ショーの「ノスタルジア」の場面でのしっとり感は印象的でした。

真風さんには失礼ですが、今回は芹香・星風お披露目公演に見えてしまいました。

愛月さんは、ご本人が原作ファンなだけに、短い台詞と出番の中で、キャラ像を浮き立たせて、深みがありました。お芝居上手な方ですね。個人的に新人公演主演辺りの頃から、応援していたので、同期の芹香さんの出現に動揺しましたが、持ち味が芹香さんと正反対なので、このコンビの時代が来たら、面白いなぁと思いました。前回は怪僧ラスプーチン、今回は顔に傷と、個性的な役柄が続き、路線を外されないことを祈るばかりです。

桜木さんは、相変わらず爽やかな好青年ですね。長身揃いの宙組では不利な感じがすることと、一皮剥けた感待ちの方です。ザナンザ皇子はカイル皇子の弟なので、長身でもっと押し出しが欲しいところ。ただ、白い役(悪役でない)が似合うのは、センター(トップスター)向きなので、劇団推しなのが分かります。月組の暁千星さんと印象が被る方です。

ビジュアルと演技で再現度の高さナンバー1は、ナキア皇太后演じる純矢ちとせさん。文句なく良かったです。

今回で退団となる星条さん、古巣の月組で退団してほしかったです。神官役は柄に合わず、出番も少なく、損な役回りでしたが、ショーは、ソロもあり、しんみりしました。惜しまれつつ退団する、引き際の潔さは、かっこいいですが、切ないですね。

男役は外部の舞台ではできないので、タカラジェンヌの退団は私にとって、その方の役者としての最後と思っています。(外部で出演される宝塚OGは、別人と思うことにしています)娘役も、女優とは違うので、同じ感覚です。

なので、退団公演の銀橋をソロで歌う姿はいつも泣いてしまいます。背中に宝塚人生の歴史を背負って、歩く姿は、燃え尽きる最期の輝きがあり、オーラが違います。

と、話がずれてしまいましたが、ちょこっと、ショーの「シトラスの風」に触れます。

初演時、印象に残ったのが、幕開けの華やかな彩りの衣装と、ゴスペルの「明日へのエナジー」です。「明日へのエナジー」は鳥肌が立ち、感動の涙を流した記憶があります。思えば、初代宙組は各組から実力ある方たちを集めたゴージャスなメンバーでした。当時のトップ姿月さんにも色々思うことがありましたが、「明日へのエナジー」は彼女の代表作であることに間違いないですね。歌が得意だった姿月さんの役を真風さんが難なくこなしていたのに、真風さんの成長を感じたのと、やはり、名場面だと再認識しました。

宙組誕生20周年記念公演に、「シトラスの風」再演のチョイスは正解でしたね。

不朽の名作の共通点について、また綴りたいと思います。

東京公演では、「天は赤い河のほとり」原作ファンのツッコミが多いと思うので、少し改変されるかなぁと思いつつ、大劇場を後にしました。

さいたまんぬ

 

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