『ラブ・ネバー・ダイ』:感想⑤ 美しい音楽~「石丸さんファントム」再び~

千秋楽も近いので、ネタバレありの現時点での個人的感想です。

(長い備忘録です)

 

1ヶ月前の初観劇(石丸さんファントム)、

予習不足で観劇し、

作品の世界観が分からず、終わりました。

 

少し予習して臨んだ2回目(市村さんファントム)で、

作品を少し理解したつもりで、感想を書いたものの、

やはり、「素晴らしい音楽」には、しっくりこないまま、一旦終了。

観劇してる時間より、考えている時間の方が長かった作品。

キャストの方々の芝居と歌唱は、素晴らしかったです。

『市村さんファントム』は、頭にこびりつく、執念深い「ファントム」でした。

 

初観劇時、自分の理解不足を

「ディープインパクト」

 のせいにしました。

 

「ファントム」は、仮面を剥がされる時、仮面と共にカツラが飛ばされ、

「サザエさん」の「波平さん」になります。

お顔も、メイクで、リアルに醜いので、「石丸乾二さん?(ギャーと叫びたい)」

となりました。

これ、かなりショック。

その後、しばらく、台詞が頭に入らなかったです。

 

2回目観劇時は、その場面に覚悟ができていたので、さほど驚かず、

作品の世界に、浸ることができました(理解は、また別)。

 

そうなると、

個人的「ディープインパクト」は、作品内で、それ程大切な位置付けの場面でない

と分かり、悔やみました。

 

というわけで、

印象が薄くなってしまった「石丸さんファントム」で、3回目の観劇。

 

やっと作品を理解しました(多分)・・・私のアタマでは、コスパが悪い良席でした。

 

いつもの末席ですが、それでも充分堪能できる位、

美しい音楽と歌唱で、劇場空間が満たされる上質な作品。

前回に比べて、音楽の印象がかなり変わりました。

予習が必要かどうかは、疑問のままです。

誰もが楽しめる「エンタメ系ミュージカル」ではない、とは思います。

 

結論から先に述べると、

初めて聴いた時に感じた「音楽」の印象は、訂正します。

「美しい音楽」であり、「私のツボ(憶えやすい)ではなかった」と分かりました。

 

『オペラ座の怪人』の音楽よりは、やはり、インパクトが弱いです。

でも「美しい旋律」は、3回目だと、すっと耳に馴染み、

『オペラ座の怪人』のメロディらしさを、所々に感じました。

やはり、歌で綴る「人間ドラマ」で、壮大なスケール感の作品ではないものの、

上質感が漂うドラマ性の高い作品でした。

これは、初観劇の印象から変わりません。

 

「美しい音楽=格調高い音楽」を、見事な歌唱力を誇るキャスト陣が、歌い上げ、

「ファントム(芸術家)が作り上げた世界観」(ファンタズマ)の舞台セットが、

  幻想的で芸術性が高くて豪華。

  少ない主要キャストで創り上げられた、密度の濃い舞台でした。

「音楽という芸術」対「家族という人間」がテーマの作品!?

  ・・・1回観ただけでは、私には、分からんわ!!と自分を納得させました。

 

 『オペラ座の怪人』の続編とはいえ、「ファントム」が「芸術家」であること以外は

 「ファントム」も「謎めいた怪人」ではなく、「執念深い人間」として存在するので、

   別の作品と思って観た方がしっくりくるけれど、

   設定は『オペラ座の怪人』の10年後という、複雑な作品です。

 

   そして、ネタバレ、作品のキーパーソン、グスタフ少年。

   クリスティーヌの息子ですが・・・父親は「ファントム」!!

   ヅカの『ファントム』を観てる最中で、『オペラ座の怪人』の内容を忘れていたら、

   受け入れられない驚愕の真実でした。

  

   第1幕は、一応「続編」なので、「ファントム」が舞台の地に10年後存在している

   背景や、グスタフ少年の真実等、重要な説明が、「歌台詞」で綴られます。

   なので、個人的に「えっ?」と驚いて、展開についていけず、

   「歌台詞」で詳細が語られるので、聞き逃すと、キャストの行動に唐突感を感じて、

   共感度が下がる・・・と3回目(歌台詞に集中)で分かりました。(多分)

 

 「クリスティーヌ」の「愛」が、「音楽」の魂の部分で惹かれる「ファントム」

 「音楽」が理解できない、現実の人間「ラウル」との間で揺れる・・・はずが、

   酒浸り男「ラウル」に失望し、失踪した「ファントム」との再会から始まる作品。

 

 「ファントム」の芸術性を尊敬し、支え続けた「マダム・ジリーとメグ」母娘。

 「クリスティーヌ」の歌声に恋焦がれる「ファントム」を複雑な思いで、

   支え続けたのに、「クリスティーヌ」が登場したら、困惑と動揺と怒りの気持ちは、

   分かります。

   

   感想というより、作品の個人的理解の説明文でした。

   観た日のキャストは、

  1回目:石丸さん・平原さん・田代さん・咲妃さん・香寿さん・熊谷俊輝さん

  2回目:市村さん・濱田さん・小野田さん・夢咲さん・香寿さん・熊谷さん

  3回目:石丸さん・濱田さん・小野田さん・夢咲さん・香寿さん・加藤憲史郎さん

  です。

 「グスタフ」は、子役でもプロの俳優さんなので、名前を入れました。

  

【キャストの感想】

①「濱田さんクリスティーヌ」、更に人物の葛藤に深みが出て、歌唱も圧巻でした。

   ドラマ性が高く、歌台詞で、芝居していても、「歌」と忘れてしまう位、

   歌唱が素晴らしいキャスト陣ですが、更に、芝居と歌唱に磨きがかかっていた方。

  1ヶ月という時間を「クリスティーヌ」から感じました。

 「ファントム」への「愛」の深さがひしひしと伝わったので、「音楽」が好きで、

 「ファントム」は切り離せない存在なんだと、納得しました。

 「ファントム」と再会した瞬間、気絶する位、大きい存在であるということが、

     受け入れられました。

 「オペラ歌手」としての歌唱も見事で、前回より、各段に良かったです。

  

②「夢咲さんメグ」、無邪気さが減り、やりきれなさが漂うメグで、哀しげでした。

  その分、ラストに向けての焦燥感、悲壮感に迫力が増して、切ないメグ。

     歌唱は、他のキャストに比べて、弱い分、芝居に迫力が増して共感しました。

 

③「小野田さんラウル」、前回とほぼ印象が変わらず。

 「石丸さんファントム」と対決する時、同い歳位に見え、男同士の戦いで、

   対等に見えた分、より「ファントム」が人間らしく見えました。

 「負ければ地獄」が一番、記憶に残る迫力の音楽です。

 「ファントム」への劣等感から、再会時に恐怖感を抱きつつも、戦いを挑む姿が

   精悍で逞しいので、「市村さんファントム」と相性が良かったです。

   年齢不詳の、素晴らしい俳優さんで、今回の大収穫。

 

④「石丸さんファントム」

    「市村さん」版を観た後だと・・・若く見えてしまいました。

   歌唱は見事なのですが、大きな違いを感じたのは、「グスタフ」への執着度。

 「市村さん」の執着度の高さは、「怪人」はやはり普通の人ではないと思う、

   異様さと、「老い」も感じるため、執着する姿に、人間臭さが共存している

   ところが、憐れで少し滑稽にも見えて印象が強く残ります。

 

   「石丸さんファントム」だけを観ていたら、何も感じなかったかもしれませんが、

   若いだけに、「クリスティーヌ」への「愛」も、「ラウル」と、男として、対等に

   見えました。(「小野田さんラウル」に貫禄がある分、より感じる。)

      冒頭で歌う「君の歌をもう一度」は、しんみり胸に沁みて良かったです。

 

⑤「香寿さんマダム・ジリー」も印象は変わらず。

   やはり「石丸さんファントム」だと、同世代に見えて「ファントム」が人間らしく

   見えました。

 

⑥「加藤さんグスタフ」は、芝居が上手い!

    「歌唱」は僅差ですが、「熊谷さん」が素晴らしくて印象に残っています。

   恐るべし「グスタフ少年たち(3名)」です。

 

「濱田さんクリスティーヌ」は、「ファントムへの愛」に説得力があり、

 納得できますが、行動に共感できるかについては、

 人生経験の豊富な方に伺ってみたいと思いました。

 

「グスタフはこれからどうするの?」という疑問は、解決されずに終わりそうです。

  名作には、そういったツッコミを入れてはいけない気がしました。

 

  以上が、1ヶ月経って、改めて観劇した、個人的感想です。

  

  次回が、MY千秋楽で、「平原さん」「田代さん」です。

  

  備忘録にしては、長過ぎました。

  それだけ悩んだ、個人的には理解が難しく、考える程奥深い作品です。

 

「美しい音楽」と、思ったのが、一番大きな変化です。

 

  さいたまんぬ

 


にほんブログ村
にほんブログ村