人気漫画原作の舞台化についての考察

人気のある原作の作品には、劇団側にメリットが多いのでしょう。ここ数作、少女漫画原作の作品の舞台が続いています。

メリットとは

・原作ファンが観に来るのでチケットが売れる

・通常より関連グッズの売上増加

しかし、ヅカファンには、メリットと共にデメリットがあるため、複雑な気持ちになります。

デメリットとは

・原作ファンの目は厳しく、ビジュアル再現度の要求が強く求められる

・原作より良い事は、ほとんどありえないので、批評が厳しくなる

・チケットが入手しにくい

・スターの番手に沿ったキャスティングだと脚色されすぎて、原作から外れてしまう。

・原作に沿ったキャスティングだと、番手があやふやになり、割を食う人が出る。

批評の厳しさは、宝塚の舞台に限らず、映画やドラマ化などにも通じますね。

ただ、宝塚歌劇の場合、トップスターの在任期間に限りがあります。

宝塚歌劇の魅力は、

タカラジェンヌでいられる時間が限られている

②男役優位社会で、トップ男役とトップ女役コンビが必ず主役を演じる

限られた時間だからこそ、その輝く姿を目に焼き付けるべく、ファンは劇場へ通います。

絶対的なトップスターが君臨し、中心となる舞台だからこそ、トップスターを目標に、日々芸に磨きをかけるタカラジェンヌたちのひたむきな努力に心打たれ、美意識の高さに尊敬と憧れを抱きます。

抜擢されるジェンヌ、当たり役でいきなりスター路線を走りだすジェンヌ、次代のスター、スター候補生を見出す楽しみ。ご贔屓の成長を見守る楽しみ。

「育てゲー」、「競馬」、「美のお手本」、「アイドル」、「芸術」、「作品から歴史や人生を学ぶ」、「男役女役の美学」.etc

宝塚歌劇」は、エンターテイメントから人生哲学まで網羅する、実に奥深い世界なのです。

その「宝塚歌劇団」が、100年以上存続し続けている理由は、「独自のスターシステム」に他ならないと思います。

話が脱線し続けているので、魅力云々は後述することにして、、、

私が宝塚歌劇に求めることは、

「男役トップスターに合った作品を提供する事を第一優先とする」

ということです。

チケットが売れないと、存続できないので、話題作の提供は経営戦略として不可欠です。また、「宝塚歌劇」を時代のニーズに合わせて変化させていくことは、仕方がないことですが、根源を覆すような変化には、ファンは付いていきません。

今回の雑記は、宙組のトップお披露目公演が「天は赤い河のほとり」と発表されて、頭をよぎったことです。

この作品は、根強いファンの多い人気少女漫画で、私のお気に入り漫画ベスト3には余裕でランクインする作品です。

何度も読んだので、キャラクターのイメージがすっかり出来上がっています。

よって、今回、主役となるカイル皇子が、宙組トップスターに就任する真風涼帆さんの持ち味に合っていないこと、原作が壮大なスケールなので、1時間40分でまとめきれる作品ではないこと、から劇団の無茶ぶりに、ツッコミを入れたくなりました。

花組ポーの一族」も同じく少女漫画原作ですが、スタンスが全然違います。あちらは、主人公とトップスターさんの持ち味がぴったりだったので上演に踏み切った感がありました。

お披露目公演は、トップスターさんにとっても、感慨深く同時に、並ならぬプレッシャーのかかる公演。可能な限り、真風色の新生宙組をアピールするような作品で門出を祝福したいものです。

幸か不幸か、宙組誕生20周年ということが話題になっているため、ショーは誕生時に上演された作品「シトラスの風」。新生宙組の門出にふさわしく、大好きな作品ですが、まぁ、再演作品ですよね。。

よって、これまた、劇団の意向が強そうな作品。

見所満載はありがたいのですが、ヅカファンは、見所(萌えツボ)は自分で見つけます。

なので、ここは欲張らず、「天は赤い河のほとり」を話題にしたいなら1本物で(できれば主役がぴったりの配役の時)、20周年記念公演を目玉とし、「シトラスの風」が外せないなら、お芝居は1時間40分でまとめられる真風さんに合った作品を願いたいところです。

まぁ、決定事項について、ブツクサ文句を言っても仕方がなく、観に行くことには変わりはなく、楽しみなのも変わりないので、単なる一人井戸端会議です。

作品の良し悪し、トップスターに関係なく、他のジェンヌさんたちは、活躍次第で次作からのポジションが変わることも大いにありうるので、この作品で誰が輝くか、楽しみです。

蛇足ですが、宙組で過去「銀河英雄伝説」をトップお披露目公演で上演されましたが、ビジュアルの再現度が高く、当たり役をもらい、トップ路線を走り始めたスターさんがいました。1本物で、トップスターさんにぴったりで、作品も区切りの良い所で終えるようにまとめられていました。そのDVDの売り上げが抜群に良かったそうです。

収拾がつかなくなってしまいそうなので、最後に一言、

人気漫画原作の場合は、観客の目はビジュアル再現度が最重要事項となるので、慎重にお願いいたします。

 

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