「あかねさす」再考~作品の成功の鍵は「大海人皇子役」!?~
まず始めに、ごめんなさい。
先日までの感想を一部撤回します
何故さいたまんぬが、「中大兄皇子」は、主役となる「中大兄皇子版」より「大海人皇子版」の方が魅力的に見えてしまった事について、考えておりました。
初めて見た、2006年月組公演「瀬奈さん大海人皇子版」が好きだっただけに、「大海人皇子版」の方に肩入れしてしまうのは仕方ないです。
なのに、「中大兄皇子版」の「中大兄皇子」があまり好きになれないのは何故!?
その結果を、脚本のせいにしたのが、前回の感想でした。
濡れ衣を着せてしまい、ごめんなさい。
ただ、あくまで、さいたまんぬの個人的な感想なので、ご容赦ください。
解明すべく、2002年花組公演「春野さん中大兄皇子版」を無料動画で少し見ました。
(無料なので、ダイジェストです・・いつか全編みたい(涙))
「中大兄皇子版」めっちゃ良かったです。
二人が主人公になりうる設定で作られた作品であることが、心で理解できました。
だからこそ、両方の役を「明日海さん」に演じてもらいたいということで、役替わり公演になった事も納得しました。
これこそが、この作品の魅力を決める大きな要素なのですね。
拮抗していなくても、「持ち味」が助けてくれることもあります。
もし、それらを排除した場合は、「中大兄皇子版」の方が難しい気がします。
「大海人皇子版」の方が、感情移入しやすく、共感できるので。
「中大兄皇子」の弟に対する非情で冷酷な仕打ちに腹立ちを抱きます。
しかし、普段は政事に重きをおく、冷静沈着な中大兄皇子が、冷静な判断ができなくなるほど、心をかき乱され、額田王に惹かれてしまう。
権力を行使してまで手に入れようとする。
憎らしいけれど、普段とのギャップから、より、強い愛情を感じてしまうので、思わず惹かれてしまう気持ち、分かります。
「中大兄皇子」、罪はないけど、モテ男の手口のようで、やっぱり罪なお方ですね。
その「中大兄皇子」の心情が比較的伝わりやすいのが、「中大兄皇子版」だと思いました。
勝手にそう理解すると、「中大兄皇子版」の「中大兄皇子」は超魅力的です。
そこで重要となってくるのが、「大海人皇子」です。
「大海人皇子」は、まだ若くて、今は兄を素直に慕う皇子ですが、「中大兄皇子」にとっては、やがて脅威に思う存在になるであろうと、予想している「未熟な中にも王者の片鱗が見え隠れする」ことが必要です。
比較するのは失礼ですが、思い入れが強いため、「瀬奈さん大海人皇子」には、どこか、それがありました。
ついでに、「春野さん中大兄皇子」の威圧感もすごくありました。
なので、いきなりの求愛でも、惹かれてしまう「額田王」の気持ちが「中大兄皇子版」でも共感できました。
そもそも、月組版を観た時、「額田王」は「大海人皇子」が好きなのに、政治的な判断も考慮しつつ、「中大兄皇子」の元へ行くと思っておりました。
つまり最後まで「大海人皇子」が好きなのに可哀想。
と思ってました。
国語が苦手な時代です。(誤解した解釈でも感動できる点においても名作!?)
今回もそれを前提に観ていたので、「大海人皇子版」に疑問を感じたので、成長しておりません。。。
疑問に思って、考えた辺り、ちょっと成長したかも!?
そして、「仙名さん」のご教授の賜物でもあります。
「中大兄皇子版」の「仙名さん」が絶品だと思ったのは、この疑問を抱くきっかけを下さった点でもあります。
「大海人皇子版」は、「明日海さん」は、未熟な若い頃の演技は、さすがです。
さらに「王者の片鱗が見え隠れ」してます。
なので、違和感なしです。
「額田王」の印象を悪く抱いていたものの、勝手に解釈を間違えて、観劇していたので、印象が変わりました。
ただ、圧倒的な威圧感の「中大兄皇子」なら、もっと説得力がありましたが、鳳月さんは充分魅力的でした。
「中大兄皇子版」は、「柚香さん大海人皇子」が若さで留まって見えたのは、前回も書きました。
・・・これが結構、重要なポイントだったのですね。
「大海人皇子版」の脚本なら、「柚香さん大海人皇子」でも、そこまで違和感はなかったかもしれません。
いや、圧倒的な「中大兄皇子」を凌駕する悲劇感で観客を虜にするパワーが必要。。
結局、「二人の皇子が拮抗する力量」が必要な作品というのが、やっと腑に落ちました。
歳の割に成長(理解)が遅いことも、改めて痛感。
で、なんで成功の鍵が「大海人皇子」?
「二人の皇子が拮抗する力量」ですよね!?
ただ、「中大兄皇子版」は「中大兄皇子」を演じるのはトップスターさんだから。
それに、この作品を上演する際、トップスターさんが作品に合っている前提のはずなので。
というわけで「大海人皇子」役を演じる方がカギを握るのではないかと思いました。
しつこいようですが、もう一度観たいです。。。
さいたまんぬ
(補足)
三井住友VISAカードのHPの明日海さんの記事を見て理解を深めました。